【翻訳】Final Statue Fantasy: part 1 #3

■■ 画廊 ■■

「はぁぁぁぁ??一体誰が描いたのよ!駄作だわ。ゴミよゴミ!」口悪く罵る小柄な少女——リルムは、幼さに見合わない優れた才能をもつ画家である。部屋を眺め終わるとうんざりしたのか、いまいち緊張感のない様子でぶつぶつと独りごちている。

「芸術はよくわからないけど、この絵すごくリアルね。…グロテスクすぎるけど…」ティナが感想を漏らす。壁に並ぶポートレートは、いずれも驚くほど緻密なタッチで描かれていた。しかし不気味なことに、テーマは一貫して一糸まとわぬ女性が触手に犯される卑猥なものである。

「この雰囲気、まるでアウザーの屋敷と同じね。気をつけて、きっと何かあるわ」元帝国将軍——セリスは、仲間に警告する。彼女はこれまでの経験から、この場所に満ちる悪意を感じ取っていた。

「うげぇぇ。あんなブヨブヨのヌメヌメ、思い出させないでよぉ。アウザーの悪趣味なあれ、わたし大っ嫌いなんだから!この部屋だって同じよ!」リルムは一刻も早くこの場から離れたいようだ。ティナとセリスに意見はなかった。三人は警戒しつつも足を踏み出した。

彼女たちは怪しげな絵画を無視するよう努めた。画廊の先は長い。奥へと行くほどに、ポートレートにはより倒錯した内容が描写されている。とある絵の中では、手の形を模した触手が裸に剥かれた女性に襲いかかり、より過激な手段で責め立てていた。

ティナは慎重に歩を進めていたが、突如一枚の絵に目を奪われた。カンバスには愛し合う二人の女性が描かれていた。恍惚の表情で、互いに足を絡め、敏感な粘膜を擦り合う女性達。触手は胸に巻き付き淫らな刺激を与えている。絵画の中の恋人達は心から情事を愉しんでいるようだった。

セリスの接近に気がつき、ティナは上気した頬を悟られないよう、しばらくその場で立ち止まった。ティナの瞳に、前を歩くセリスの後ろ姿が映る。美しい肢体。それを彩るレオタード。背中を覆うマント。唐突に、ティナは自分の中で奇妙な感情が膨れあがるのを感じた。

引き締まった臀部。細い腰回り。マントに隠れた女戦士の滑らかな柔肌。ティナは感情の疼きに抗えず、細い腕を伸ばすと、背を向けて歩くセリスへと勢いよく抱きつく。魅力的な尻の膨らみに両手を這わせると、揉みしだき、その感触を愉しみはじめた。

「うわっ!?ティ、ティナ!?あなた何してむぐッッ!?」セリスは驚いて声を上げたが、ティナは強引に唇を重ねと、その抵抗を封じた。抗いがたい甘い感覚が、ティナの肉体を通してセリスへと伝播していく。二人はたまらず床に腰を下ろすと、お互いにねっとりとした愛撫を始める。

ティナはセリスへと覆い被さる。いまや二人の精神は、完全に欲情に支配されていた。「あ、空のカンバスみっけ。雑な画廊ねえ…ってええっ!?な、何してるの二人とも!?」リルムは目を疑った。先ほどまで部屋を調べていた二人が、いつの間にかあられもない姿で床に転がっている。

リルムは絶句し、戸惑ったものの、すぐに悪戯っぽい笑みを浮かべ、鞄から絵筆を取り出した。「ふふん。よくわかんないけど、面白そうだからスケッチしとくね」年若い画家は絵筆を握ると、背後にある空のカンバスに向き直ろうとする。しかしその試みは成功しなかった。

不意にカンバスの表面が歪む。そこに、おびただしい数の黒い触手が現れた。触手は少女の全身に巻き付くと、己の住処へとその幼い身体を強引に引き寄せる。画布の表面が怪しく波打つと少女の身体が沈んでいく。悲鳴を上げる時間すらなく、あっという間に、リルムはカンバスの中へ消えてしまった。

ティナとセリスの精神は、いまだに激しい色欲に囚われていた。コロン。リルムの指から抜け落ちた絵筆が床に落ちる。その音は、残された二人に危険を伝えていた。しかし互いの身体を貪ることに夢中になっている彼女たちが、それに気づくことはなかった。

…二十分後。ティナとセリスはようやく抱擁を解いた。いまだ身体には快楽の痺れが残り、恍惚とした瞳には若干の未練が浮かんでいる。しかし、彼女たちは徐々に落ち着きを取り戻しつつあった。つかの間の静寂の後、冷静になった頭で、二人は重大な事実に気づく。リルムがいない。

すぐに二人は、消えた少女を探して室内をあらためた。しばらくしてティナは、あるカンバスの手前の床に、絵筆が落ちていることに気がつく。「変ね、これはリルムの絵筆だわ…こんな大事な物、落とすわけないのに…」緑髪の少女は不審げに眉根を寄せた。

「いつもの悪ふざけじゃないみたいね。まさか…っ…ティナ!あの絵よ!よく見て!」セリスが指差す先をティナの視線が追う。それは彼女の右側にある一枚の絵画だった。ティナはすぐに理解できず、一呼吸置いて、ようやく顔を青ざめた。「これがリルムなの…?でも、どうやって…?」

その絵画に描かれている少女は——リルムだ。人が絵に囚われるという非現実的な出来事。室内を調査中、カンバスは間違いなく空だった。だからこそ罠だったのだと、二人は思い至る。皮肉なことに、この若い画家は触手に蹂躙された姿ではなく、高尚な芸術作品として絵の中に佇んでいた。

触手の様子は他の作品とは大きく異なっていた。それは絹のシーツを掴み、幼い少女のふくらみや蕾みを隠すように覆っている。少女の片手にはトレードマークであったバンダナが握られていた。自由になった金髪は背中へとゆるやかに広がり、キラキラと光を反射している。

少女のもう片方の手は、シーツを身体に巻き付けるようにして、腰に添えられている。その布の形状からは、隠された肉体の輪郭がはっきりと浮き上がっていた。もしリルムがこの種の絵画を目にしたなら、賞賛の言葉を贈ったことだろう。しかしもはや彼女は、ただの美術品でしかなかった。

セリスとティナは身震いし、その場に立ち尽くしていた。エスナの魔法は効果をなさず、画布を揺すり叩いてもやはり反応はない。せめて壁から外そうと手をかけるが、まるで見えない力で守られているように、その場所から少しも動かすことができなかった。二人の表情に絶望の陰が浮かぶ。

「な、なにか方法があるはずでしょ…!」ティナは涙を堪えた。リルムの身に降りかかった残酷な運命を、彼女はまだ受け入れることができないのだ。「…辛いでしょうけど…先に進みましょう。この城の主がどこかにいるはずよ。捕まえれば、リルムを助けることができるかもしれない」セリスが言った。

セリスは悲しむ少女の肩に手を置き、なだめるように優しく抱きすくめる。悲しみが少しでも収まることを願い、しばし二人は身を寄せ合った。やがて彼女たちは立ち上がり、お互いの手を取ると、魔城の奥へと向かって歩き始める。未だ身体の中に情欲の炎をくすぶせながら…。

■■ 幕間 ■■

「ちょ、ちょっと待ちなさい!王女姉妹はあんなに可愛がってあげたのに、あの画家の娘は何なの!情けをかけたとでも言うつもり?」魔王アザラは鼻息荒く、従者にくってかかる。「はい?何か不満がございましたか?わたくしとしては、やはりバストの大きな女性が好みですので…このように!」

ムラサキはその場に立ち上がると、ふわりと体を揺らしてみせる。きわどい衣装に包まれた従者の豊満な乳房が、プルンと音を立てて弾んだ。「ピーピーうるさいあの娘は、自らが芸術品となりました。自業自得ではございませんか?」自信ありげに、従者は主に説明する。

「フン!あんな退屈な姿に変えるくらいなら、あの娘、連れてくる必要はなかったんじゃない?」主が言う。「まあ、ご主人様。美しい娘達が三人一組で試練に挑む。それが今回のテーマでございます。あの娘は、他二人のただの付随品ですわ」ムラサキは言葉を続ける。

「それに、彼女の最後は、むしろ詩的だったとは考えられませんか?アーティストがアートとなる。少なくとも、残り二人の戦士の美貌については、ご主人様もお認めになられますよね?」従者は自分が用意した今宵の宴に、相当の自信があるようだ。

「それはそれよ。…まあ私が言いたいのは、あんなつまらない作品がどうでも良くなるくらい、これから起こるイベントに期待しているってことよ。あの二人の女達の結末、甘美なものなのでしょう?」魔王は従者の言葉に、幾分か納得したようだ。

「はい。彼女達の運命は、彼女達自身の手に委ねられておりますので…あら、申し訳ございません。少々しゃべりすぎました。まだ不満がございますか、ご主人様?」従者が聞き返す。「いいわ。それじゃ続けてちょうだい。お前が私の期待を裏切ったこと、ないものね」アザラの目に喜色が浮かぶ。

「光栄ですわ。ご期待ください。わたくしの手管で満足しなかった女は、未だおりませんので…」サキュバスの口からクスクスと笑みが漏れる。「では、宜しければ、次のショーへと参りましょう」「お願いね」水晶玉が輝く。その表面には次の獲物となるであろう、美しい女性達の姿が映し出された…。

つづく Final Statue Fantasy: part 2 #1

« »