【翻訳】Final Statue Fantasy: part 2 #1

■■ 宝物庫 ■■

「ワーオ!お・た・か・ら〜〜〜ッ!」彼女の名はユフィ・キサラギ。忍者であり、シーフであり、何より強欲の体現者である。忍者娘は満面の笑みを浮かべながら、部屋の中をせわしなく駆け回った。「こ〜〜んな沢山の宝物、見たことないよ!きっとマテリアもあるよねっ。ヤ〜ンっ!」

「ユフィったらもう、あんなにはしゃいじゃって。あっ、このティアラ素敵ね」茶髪の娘——エアリスはそう言うと、足下に転がる装飾品を拾い上げ値踏みしはじめた。一見やんわりとした物腰であったが、瞳にはユフィ同様に、隠しようがない興奮が浮かんでいる。

「はぁ。それにしてもこんなに沢山、誰が集めたのかしら?神羅カンパニーでも買っちゃおっか、ね?」黒髪の娘はティファ。他の二人とは違い、彼女はいくぶんか冷静なようだった。「でも…やっぱり不自然だわ…」不安げな面持ちで独りごちる。

三人が目を覚ましたのは不気味な城の中だった。彼女たちは城内を探索し、あてもなく彷徨っていたところ、この部屋に辿り着いたのである。床を埋め尽くす金貨の山。隙間からは貴金属や宝石で出来た装飾品が顔を覗かせている。馬鹿馬鹿しいほどの財宝が眠る、そこは宝物庫だった。

「こういうときは普通、宝の番人がいるものでしょう?」ティファが誰にともなく呟く。彼女は室内を調べ始めた。格闘家特有のしなやかな体からは、豊満なバストがのぞいている。「…こんな風に隠しもせず宝物が置いてあるなんて…なにか狙いがあるはずよ」

「なーんでそんなこと言うかなー」ユフィが脳天気に答える。忍者娘は金貨の海に飛び込むと、財宝の山をかき分けるように、手足をばたつかせながら壁際へと向かっていく。その動きが突然止まった。彼女の両手には丸々とした大きな宝石が握られている。

「んん?あれ?これマテリアじゃ…ないじゃん!このーっ!」語気も荒くそう言うと、ユフィは手にした宝石を放り投げた。大玉のサファイアが放物線を描く。ゴツリと音を立てと、再び財宝の中に埋もれていった。ユフィは気にするそぶりもなく、また金貨の大海へ身を沈める。

「罠だと思ってるの、ティファ?大丈夫。モンスターがでてきても、やっつければいいだけじゃない」ティファを安心させようと、エアリスが口を開く。茶髪の娘はダイヤモンドの塊を片手に掴むと、髪に挿した金細工の加減を見るために、その宝石に自分の姿を映しはじめた。

しばらく後。ぺっぺっと金貨をはき出しながら、突然、ユフィが財宝の山から顔をのぞかせた。そして勢いよく頭上に腕を掲げる。その手には煌めく宝珠が握られていた。「よっしゃー!マテリア発見ー!」忍者娘が吠える。誕生日プレゼントにはしゃぐ子供のように、少女の表情は爛々と輝いていた。

「これ赤いよね?ってことは、召喚獣!?ヤ〜ン、レア物だよ〜っ」ユフィはティファに駆け寄ると、見つけたばかりのマテリアを誇らしげにかざして見せた。宝石の輝きがティファの横顔を照らす。忍者娘は興奮した様子で、自身の武器である手裏剣、その中央のくぼみに宝珠をはめ込んだ。

「これ絶対いいやつだよ〜っ?アタシ思うんだけど、いますぐ召喚してみない?いやするよね。うんしよう!」ユフィがまくし立てる。「ちょっ、ちょっと待って。せめて隣の部屋で……ってああもうっ!」恍惚としてマテリアを眺める少女に、ティファの静止は届かなかった。

召喚がはじまった。マテリアを中心として、手裏剣から魔力が迸る。それはすぐに目がくらむほどの輝きに変わった。同時に術者の足下には魔方陣が広がり脈々と鼓動をはじめる。ユフィの顔が歓喜に染まった。そして————何も起こらなかった。

ユフィはしばらくの間、魂が抜けたように放心していた。あれ?先走り過ぎたかな?そんなことを考えているうちに、突如、予期せぬことが起こる。地面が揺れた。金銀財宝がガラガラと崩れる。驚いたことに、いくつもの金貨が中に浮いていた。それ集まり、凝固し、あっという間に人型を成した。

「えーと…これ…ゴーレム、だよね?き、金でできたゴーレムっ!?ワ〜オ!」マテリアは動作したようだ。財宝で組み上げられたその奇妙な物体は、召喚者の実に倍以上の背丈である。天井ほどもある巨体が室内に濃い陰を落とす。気がつくとユフィは、ゴーレムの陰にすっぽりと覆われていた。

「ふーん、へぇー。よし、ゴーレム!エアリスとハイタッチしてみて!」ゴゴゴ…。巨像は一度大きく体を揺らすと、ぎこちなく動き始めた。その姿を見て、花売り娘はクスクスと笑っている。エアリスが手を伸ばす。巨像は命令通りに、ゴツゴツとした金塊の手をそれに重ねた。

次の瞬間。ブオン。強風が娘の体を薙ぐ。巨像はハイタッチの勢いのまま、その大きな手のひらで、花売り娘の細いウエストを掴み上げたのだ。ガッチリと握り混むとそのまま宙に吊り上げる。エアリスは拘束から逃れようと身をよじるが、ゴーレムはまるで意に介さない。

「ちょっとバカ!違うって!」ユフィはそう叫ぶと、すぐさま駆け寄っていく。「アタシそんな命令してないぞっ!」巨像の太い腕を蹴飛ばそうと足を構えたその瞬間、巨像のもう片方の腕が、意図せぬ速さで突き出された。呆気ないほど簡単に、ユフィもまた、ゴーレムにすくい上げられてしまった。

「わわっ!?な、何すんのさっっ!ティファー!ど、どうにかしてー!!」忍者娘は大げさな身振りでもがいている。一方、ティファは愕然としていた。その眼は不可思議な現象を目撃する。それは明らかに彼女の理解を超えていた。

ゴーレムが暴走を始めた瞬間、ティファの体は動いていた。彼女は咄嗟に魔法を放つ。その火球は巨像に命中した。エアリスを掴む黄金の腕へと炎が弾ける。ドロリ。気づいたときに遅いかった。金塊のいくらかが溶け落ちたのだ。パシャッ!飛沫はすぐに、無防備な花売り娘の体へと降り注いだ。

「き、金に…なってく…!?」ティファは驚愕に目を見張った。黄金のさざ波が、エアリスの全身を飲み込んでいく。握られた腰を始点とし、華奢な手足へと、瞬く間に金属の光沢が広がっていく。エアリスはひどく取り乱していた。しかし抵抗するすべを失うと、絶望に染まった瞳をティファへと向ける。

「ティファ——」エアリスが口を開こうとした瞬間、黄金の輝きが口内を舐め尽くす。漏れ出た吐息はその唇ごと、金属色に染め上げられた。淡く波打つ長髪もまた、彼女の身体同様に、ギラギラとした光沢で覆われていく。最後に瞳を塗り固め尽くすと、彼女の黄金の牢獄は完成した。

エアリスから動きが失われた。靴、服、杖——。今や彼女と、その身にまとう物全てが黄金と化していた。ドロリ。すぐに衣装は液状化し地面に流れ落ちる。鈍くぎらつく輝きを放つ一体の裸婦像。ゴーレムは出来上がった作品に満足すると、それを地面へと無造作に放り捨てた。

「ティ、ティファぁ。も、もう…ダメぇ…」エアリスが財宝の一つに成り果てた頃、ユフィもまた同じ運命を辿ろうとしていた。ティファは狼狽えながらも振り返る。すでに少女の腰から下半身にかけて、金属質の輝きに覆われていた。黄金化はじりじりと、その範囲を広げている。

ユフィはささやかな抵抗を試みた。彼女は拘束の隙間から片腕を逃がすと、武器を握るその手をゴーレムに向けて突き立てた。ガキンッ。しかしそれは虚しく弾かれた。巨像の肉厚な体に刃をまったく通らない。瞬く間に、無事だった片腕もまた、金属の殻に覆われてしまった。

今やユフィの身体の大半が、金へと置換されていた。彼女は手裏剣を握るもう片方の腕を振りかぶると、それを勢いよく叩きつける。彼女の最後の悪あがきは、あとほんの数センチというところで失敗に終わった。無慈悲な浸食が腕に達すると、ユフィの両腕は永遠にその場に固定された。

手裏剣が金に変わる。そして、マテリアの鮮烈な赤い輝きが、黄金色に塗りつぶされた——まさにその瞬間。唐突に魔力の源泉は消滅した。巨像がガラガラと音を立てて崩れ落ちる。ゴーレムはその力を失い、財宝の山の中へと埋もれていった。その腕からはユフィが転がり落ちていた。

ティファを深い後悔が襲う。ユフィは——元マテリアハンターの少女は、装束を全て剥かれた姿で、純金の彫刻へと変わり果てていた。その顔にはありありと恐怖の色が刻まれている。エアリスとユフィ——かつての仲間達は、いまや二体の黄金像となり、金貨の海に埋もれていた。

「エアリス…ユフィ…嘘でしょうっ!?」ティファが駆け寄る。手の込んだイタズラであってほしい。しかし黄金化は紛れもない事実だった。文字通り、二人は金属の檻の中に永遠に閉じ込められてしまったのだ。

回復用のマテリアさえあれば…。ティファはそう悔やんだが、おそらくエスナではこの状態変化を解除できないことにも気づいていた。何も出来なかった。その現実に対して、ティファの心は罪悪感に苛まれた。彼女に出来たのは、仲間のなれの果てを前にして、涙を流すことだけだった。

数分後。突如、ティファは奇妙な感情に襲われる。その感覚は彼女の心に染み渡ると、瞬く間にそれを掌握した。ティファの意に反して、身体が勝手に動く。彼女はギクシャクとした動きで顔を上げると、二体の黄金像に目をやった。すでにその瞳から、涙は乾いていた。

目の前には、全裸となって光沢を放つ、かつての仲間の肉体が横たわっている。官能的な曲線を描く乳房。誘うかのようにうっすらと開かれた唇。足の間から覗く秘密の花園。触れてみたい…。その感情にティファの思考は埋め尽くされていた。

ゆっくりと細部を味わうように、ティファは指を這わせた。エアリスの豊かな胸へと片手を伸ばす。指の間で包み込むと、金色に塗れた先端部、その手触りを十分に堪能した。もう片方の手はユフィへと向かっている。やはり乳房を掴むと、キュっと尖った乳首を愛撫し、その感触を楽しんだ。

ティファは二体の黄金像の間に膝をつく。彫像の滑らかな下腹部、そしてその奥には乙女の秘所が垣間見えた。隠しようもなく晒されている魅惑の造形。その神秘の領域へと、ティファは取り付かれたかのように指を伸ばした。

横たわるエアリスへと馬乗りになると、金色のマニキュアが塗られた唇へ舌を差し入れる。と同時に、太ももへと重ねられ両腕は、指先でその表面をゆっくりと感じながら、秘部へと向かっていく。ティファはエアリスの肉体を味わい尽くすと、今度はユフィにその潤んだ眼差しを向けた。

ティファはユフィへと身体を重ねる。胸にある黄金の膨らみを、片方ずつ時間をかけて揉みしだくと、金細工の曲線美に感じ入った。ふとユフィの片腕に目にとまる。それはゴーレムへ抵抗した際に、武器を握っていた手だった。その形状は好ましかった。ティファの脳裏にふしだらな思考が閃く。

彼女はショーツを膝までずらすと、裸の下腹部をユフィの手の上にあてがった。そこには黄金と化した指先がくの字の形で固まっている。ティファは自分の陰唇へと、その指先を擦り付けはじめた。興奮と同調するように豊満な胸が上下する。かつての仲間の指先を使い、ティファは自慰に耽った。

ティファは一人熱を帯び、息を弾ませた。その唇から官能の喘ぎが漏れる。やがてひときわ大きな快感が彼女の身体を貫く。「————ッッ!!」脳を焼き尽くすような強烈な絶頂に、ティファは声にならない叫びを上げた。その身体がビクビクと恍惚に悶える。

行為が終わり、徐々に快楽の波が収まっていく。ティファは座り込んでいた。すぐ近くには、黄金に輝く二つの裸体が情事に疲れ果てたかのように、その身体を横たえている。いずれティファは一人、城内へ赴くのだろう。しかし彼女は、今しばらくはこの「財宝」達と共に過ごすことを決めたようだ。

エアリスとユフィは、最も得がたい財宝としてその場に佇んでいる。それは文字通りの意味でもあり、ティファにとってはより深い繋がりを意味していた。

■■ 幕間 ■■

「いいじゃない!素晴らしいわ!」アザラは手放しで賞賛した。「女達の表情。傑作だわ。歓喜から恐怖へ。そしてあの黒髪の娘。幸運ね。でも仲間の身体で自慰するなんて。ふふ。あれ、お前の仕業でしょう?とても甘美だったわ…!」

「褒めてあげるわよ、ムラサキ」魔王は興奮で身を震わせながら、従者へと賛辞を送った。「感謝致しますわ、ご主人様」ムラサキが続ける。「先ほど申し上げたとおり、女性を常に満足させることこそ、サキュバスとしての、わたくしの誇りですので」

「そうね。けど」アザラが指摘する。「どうしてパターンを変えたのかしら?今回は二人脱落したわよね?」従者が答える。「ご主人様のために趣向を凝らしました。全て同じパターンでは、ご主人様を退屈させてしまいますので」

「分かっているじゃない。その通りよ。私は予想できる展開なんて大っ嫌い。でもこの宴はいいわ。とても新鮮よ。だから言ってあげる。もっと続けなさい。そう、毎晩でも、私は構わないわ!」魔王は感じ入ったように、従者へと言葉を投げかけた。

「あ、ええと…毎晩というのはちょっと難しいかもしれません。今夜の宴は、特別なものですので…」「特別?」魔王が訝しむ。「はい。実は、わたくしがご主人様にお仕えしてから、今日でちょうど500年。今宵の宴はその記念でもあるのです」従者はそう告げた。

「本当なの?」「本当です」従者は言う。「500年経った今でも、あの日を忘れたことはございません。愚かだった昔。不遜にも挑戦しました。玉座の上の貴女様へ…」ムラサキの声に感動が滲む。「ご主人様は仰いました。お仕えすることを認めると。ですので、わたくしは永遠に貴女様の従者です」

「そう…私はね、お前の働きぶり、ちゃんと理解しているわ」ムラサキは、主の唇に浮かんだ微笑みに目を奪われた。魔王が従者へ感謝を表すことは滅多にない。アザラにとってその笑みは何気ない仕草の一つだった。しかしムラサキにとってはその笑顔は、心を満たすのに十分なものだった。

しばらくの間、アザラは玉座の上で、最後の光景について思いを馳せていた。ようやく顔を上げると、従者に続きを促した。「お許しください。少々考え事をしておりました。はい、すぐにでも次の準備がございます。さあこちらをご覧下さい」沈黙していた従者が口を開く。

魔王は玉座から身を乗り出すと、水晶玉へと視線を注いだ。その瞳は次の余興への期待に満ちていた。「自信がありそうね、ムラサキ?」「はいご主人様。次の趣向ですが、今までのものとは多少異なります。でもきっと満足されますわ。それではおくつろぎ下さい」水晶玉が発光をはじめた。

つづく Final Statue Fantasy: part 2 #2

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