M9さん作 : 侍魂外伝 ~姉妹の絆~ (2)

2
リムルル「う、ちょっと・・・怖いかも・・・。
     姉様、どこまで行っちゃったんだろ・・・。」
まだ日が高いとはいえ、森の中は鬱蒼と繁る木々に日光が遮れ、やや薄暗い。
怪物が潜むという事を聞かされているせいか、森の中はより一層薄暗い印象を受ける。
リムルルは少し不安そうな表情を浮かべたが、それ振り切るように首を振った。
リムルル「ダメ・・・しっかりしないと・・・私が怪物を倒して、一人前だって事認めさせるんだから・・・。」
そう自分に言い聞かせる様に呟く。
しかし、その呟きに予想外の返事が返ってきた。
?「ほう・・・今日は客人が多い様だな。」
リムルル「!?だ・・・誰!?」
咄嗟に腰の短刀に手をかけ、臨戦態勢を取るリムルル。
しかし、声はすれど姿は見えない。
リムルル「隠れてないで出てきなさいよっ!」
威嚇の為か、それとも見えない敵への不安をうち消す為か、精一杯の大声で叫ぶ。
ややあって、その声に答えるかの様に「それ」は姿を現した。
目の前の大地が盛り上がる。
まるで地中から泥があふれ出るかの様に。
その泥は段々と形を変え、人の形を取り始める。
まるで粘土で出来た人形の様に。
リムルル「あなたが・・・村の人達が言っていた・・怪物なの?」
ゴーレム「いかにも。今まで何人もの人間が私を退治にやってきたが・・・君の様な小娘は初めてだな。」
・・・どうやらナコルル姉様より先に遭遇したらしい。
ちょっと怖いけど・・・チャンスには違いなかった。
コイツを倒せば私だって一人前だって認められる・・・そんな気持ちが彼女を奮い立たせた。
大丈夫、今までだって何匹もの怪物を相手してきたんだから・・・。
リムルル「私の名前はリムルル、大人しく石にした人達を元に戻しなさい!さもないと・・・。」
ゴーレム「さもないと・・・どうするのかね?」
リムルル「私が・・・アナタを倒します!!」
その言葉にきょとんとした表情を浮かべるゴーレム。
柔らかな泥で出来ているせいか意外と表情は豊かの様だ。
しかし、ややあって嘲笑にも似た表情と共にこう言った。
ゴーレム「フフフ・・・君の様な子供に何が出来るというのかね?」
リムルル「子供じゃない!私だって戦士なんだから!バカにしないでよっ!!」
ゴーレム「そうか、失礼した。ならば子供扱いせず・・・全力でお相手しよう。」
言うが早いか一気に距離を詰めるゴーレム、そして大振りの動作で拳を振り下ろす。
リムルルはバックステップでそれを避ける。
地面にめり込んだ相手の拳・・・に見えたが、実際は地面の固さに負けてひしゃげただけの様だ。
まるで柔らかい粘土を地面に叩き付けたかの様に。
ゴーレム「ほう、なかなかやる様だ。君の言葉、嘘では無い様だな。」
曲がった拳(だったもの)を引き抜く。
そしてそれはすぐに元の拳の形を取り戻した。
リムルル「へへーんだ、そんな大振りの攻撃なんか当たらないよっ。
     今度はこっちの番だね・・・いっくよーっ!コンルっ!!」
リムルルの側にスイカ大の氷の塊が浮かび上がる。
氷の精、コンル。彼女に付き従う氷の精だ。
彼女の巫女としての力で具現化し、彼女に力を与える存在であり、そしてパートナーでもある。
リムルル「いっけぇーっ!」
彼女の手に小さめの氷の塊が浮かび・・・それを投げつける。
その塊は見事に命中し・・・ゴーレムの足を氷結させる。
リムルル「どう?動けないでしょ?降参するなら許してあげるよ。」
そう言って微笑むリムルル。
しかし、動きを封じられたハズのゴーレムは至って冷静にこう言った。
ゴーレム「ふむ・・・君の様な相手は初めてだ。私が氷漬けになるのが先か・・・君が石像になるのが先か・・・勝負だな。」
その台詞にカチンとくるリムルル。
リムルル「冗談言わないで!誰があんたなんかに・・・石なんかにされてたまるもんですか!!
     大体、動けないくせに・・・。」
その言葉に答えるより早く、ゴーレムは氷結した足を切り離す。
そして体の部分の粘土を足へと回し、足を再構築する。
それと同時に、凍っていたかつての足の部分はまるで溶けるかの様に融解した。
ゴーレム「私はまだまだ動けるよ?フフフ・・・。」
リムルル「ウソっ!?」
ゴーレム「それだけじゃない、こんな事も出来るのだよ、私の体はね。」
ゴーレムは拳を開き、リムルルへと向ける。
手のひらから小さな粘土状の物質がまるで散弾の様に襲いかかる。
広範囲に渡る攻撃にリムルルは避ける事が出来なかった。
リムルル「きゃあああーーーっっっ!!!」
散弾の雨が止み、その場にひざまずくリムルル。
その衝撃で胸や足に貼り付いていた粘土が剥がれ落ちる。
弾が柔らかな粘土だったせいか、衝撃自体にはそれ程痛みはない。
咄嗟にガードもした、それなのに・・・体力をかなり削られてしまった様な感じを受ける。
リムルル「何・・これ・・・力が・・・抜けてく・・・」
ゴーレム「例え体から離れてもその粘土は私の一部。触れた者から力を吸い取れるのだ。
     君の力はなかなかの美味だ。さぁ、君も大人しく私に力を捧げ、そして石になるがよい。」
ひざまずきながらも、その言葉にキッとした表情で答えるリムルル。
リムルル「負けられ・・・ないんだから・・・ナコルル姉様に恥をかかす様な真似は・・・。」
ゴーレムはその答えを確認すると下半身を地面に沈めこむ。
丁度上半身だけが地表に現れている形だ。
リムルル「な・・・何する気・・・いやあああっっっ!!!」
リムルルの背後で粘土の樹が生える。
その先端が複数に分かれ、まるで触手の様にリムルルの足と腕と腰に絡みついた。
そしてそのまま彼女を持ち上げ、1メートル程の高さに達する。
一気に先端に突き上げられた衝撃で彼女の小ぶりな胸もフルっと揺れた。
拘束され、身動きのとれないリムルル。
リムルル「いやあっ!放してぇっ・・・あっ・・あああーーっ!!」
先程とは比較にならない速さで力が奪われていく。
抵抗する動きが徐々に緩慢な物になる。
リムルルの表情も段々虚ろなものへと変わっていく。
リムルル「・・・ねぇ・・・さ・・・ま・・・。」
ゴーレムはそれを確認すると、ゆっくりと樹を縮め、地表近くで彼女を解放した。
仰向けに横たわるリムルル。
ゴーレム「腕は未熟だが・・・素質はある様だな、私をここまで楽しませたのだからな。
     普通であれば散弾で全ての力を吸われ、気を失う所だ。
     いずれは私を脅かす存在となるだろう・・・そうなる前に、お前も石となるがよい。」
ゴーレムの目から一条の光が発射される。
これまで多くの物を石と化してきた光。
その光がもはや身動きのとれない少女の身に容赦なく降り注がれる。
光の当たった腰の部分から、彼女の青を基調とした衣装が徐々に灰色に染まっていく。
お腹から始まった石化は上下2方向に分かれ、リムルルの体を灰色へと染めていく・・。
キュロットから伸びた素足を。
そして発育途上の小さな胸の膨らみも、石へと変わっていく・・・。
リムルル「・・・やだ・・・石になんて・・・なりたく・・・ないよぉ・・・。」
リムルルの瞳にうっすらと涙が溜まっていく。
リムルル(どうして・・・)
リムルルは薄れていく意識の中でそんな疑問を浮かべていた。
今までだって苦戦した事はあった、でも結局最後には勝利を得てきた。
それなのに・・・どうして・・・。
今までだって・・・姉様と2人で・・・。
その言葉に少しハッとするリムルル。
そうだ・・・今までは姉様と2人で力を合わせて・・・。
思えばいつも危ないときは姉様が助けてくれた。
私だって何度か姉様のピンチを救ったけど・・・圧倒的に助けられた事の方が多い様な気がする。
それなのに・・・私は勘違いしていた。
1人で何でも出来ると思っていた。
その結果が・・・。
リムルル「ねぇ・・さま・・・。」
石化がリムルルのまだ幼さが残る顔を覆っていく。
リムルル「・・ごめん・・・ね・・・。」
その呟きと共に、眠りへと落ちていくリムルル。
涙が一滴、こぼれ落ちた・・・。
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